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音楽を「する」ことの魅力

中学生の頃からクラシック音楽鑑賞が好きだった私は、高校進学をきっかけに、なにか他人とアンサンブルができる楽器を始めたいと思い立ち、弦楽合奏の部活に入部してチェロの演奏を始めました。

そこで、今まで音楽を受動的に「聴く」だけでは分からなかった、音楽を「する」ことの面白さや魅力を感じ、やがて音楽を人々による実践として捉えるような視点に興味を持ち始め、世界各地の民俗音楽や実験音楽へと興味の範囲が広がっていきました。

進路を考え始めたとき、たまたま東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科の中にアートマネジメント専攻があること、さらにそこでは音楽を中心とした市民参加型のアートプロジェクトが行われていることを知り、受験を決めました。

合格後は、希望通りに「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」というアートプロジェクトの学生スタッフとなり、「野村誠  千住だじゃれ音楽祭」という企画の担当になりました。

大学に入りたての右も左もわからない状態のまま、企画運営の現場に入り込むのがこの専攻の特徴で、さまざまなコンサートやワークショップのマネジメントをおこなっていく中で、企画の成り立ち方やそこで起こっている出来事、自分がやりたいこととできること、企画の中での自分の立ち位置などが、徐々に見え始めてきました。

そして、学部3年の時には、1010人の多様な背景を持った演奏者を集めた演奏会「千住の1010人」を実施し、学部4年の時には、公募で集まった市民音楽コミュニティ「だじゃれ音楽研究会」のメンバーと一緒に、タイ・バンコクへの演奏ツアーをおこないました。

現在の関心事は、入学当初と根幹は変わらず、音楽を「する」とはどういうことか、そこではどのような相互作用が起きているのか、そして、多様な背景を持った人々が緩やかに集う音楽実践の場はいかに実現することができるか、ということです。

今後も研究と実践の両方を互いにフィードバックさせ、さまざまな領域を横断しながら、研究テーマに関する洞察を深めていければと思っています。
そのために、本学に今年からできた国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻に進学し、現在も勉強を続けています。

(2016.06)