東京藝術大学入試情報サイト > 小野澤 峻

目の前に広がっている海をどうやって他の人に伝えよう

自分の記憶を掘り起こし、思いのままに筆を走らせてもいい
カメラで撮った写真を大きくプリントアウトしてもいい
定点から長時間映像を撮ってスクリーンに投影してもいい
その様子を文字で綴りSNSで公開してもいい
マイクで録音した音をヘッドホンで聴かせてもいい
そこにあった砂を運んできて部屋に敷き詰めてもいい

写真は一瞬しか記録できないし、かといって映像は何分見せるのがちょうどいいんだろう。 そもそもそんなに長い時間鑑賞してくれるとも限らない。砂を持ってくるのは大変だし、この音を採るのに最適なマイクは?聴かせるのはヘッドホン?スピーカーの方がいいかな。

これはほんの一例ですが、私は作品を作るプロセスでこういったことをよく考える。 全てのやり方には体験における長所短所が存在し、私という人間との向き不向きもある。 そもそも私は何がしたくて、なんでそれをしたいのか。そんなことも考える。

私の学科はとにかく全部やる。絵も写真も映像も音もダンスも工作も、他にもいっぱい。 だからこそ、何故そのメディアで観せたいのか、どう観られたいのか、という発想ができる。 手法を模索する中で、同級生との意見のぶつかり合いが新しい発見を沢山くれる。
毎日が思考と作業の実験場のような感じ。なにかをする場所ってよりかは、自分は何がしたいか、ということに能動的になれる場なんだと思う。

(先端は何をしているのかわからない、という質問に対するある日の私の回答)

プロフィール

東京藝術大学美術学部先端芸術表現科を首席で卒業。2019年現在同科修士課程在籍 作家と社会を繋ぐ活動に興味があり、作家活動をする傍コーディネーターや プランナーとして様々なアート活動に参加している。アート団体連携組織の事務局長を務めるなどし、 社会の中のアートの居場所を日々模索している。

 

Movement act (2019)