東京藝術大学入試情報サイト > 長田 和樹

私は小学3年生からピアノを始め、中学の吹奏楽部でファゴットと出会いました。

演奏家に対する漠然とした憧れはありましたが、「演奏家になるのは一握りの特別な人だから自分には無理だろう」とか、「大学で音楽を学んでも食べていけるわけない」などと思い込んでいました。両親は音楽家でもなく、地方の普通の家に育った自分には、藝大を受験することなど考えにも及ばなかったのです。それでも音楽が好きだったので高2までは教育学部の音楽系を志望していました。

しかし高校二年生の秋、修学旅行で訪れた北海道で植松電機の社長、植松努さんの「夢を持たなければ叶わない。諦めるな」という内容の講演を聞いて衝撃を受けた私は、演奏家になりたいという夢を叶えるために頑張ってみようと決意したのです。

藝大を志望校に選んだのは、吹奏楽部に藝大を目指す友達がいたことと、どうせやるなら一流を目指してみよう思ったからです。しかし受験までの期間は約1年。特にソルフェージュはゼロからのスタートだったので、相当苦労しましたが、先生や周りの人達に助けられ、なんとか間に合わせることができました。

藝大に入学できたことはほんのスタートでしかありませんが、それでも自分の夢に一歩近づくことができました。

藝大は素晴らしい先生方から質の高いレッスンが受けられます。管楽器専攻では、それぞれの専攻楽器ごとに部屋が用意され、レッスン部屋室も完備されています。そこには自然と人が集まり、先輩方から演奏に対するアドバイスをもらえることもあります。みんなとてもよく練習するので、自分も負けていられないという気持ちになります。そして高い技術や音楽性を持った仲間との演奏やアンサンブルはとても楽しく、多くの音楽的な刺激を受けます。このような恵まれた環境で大好きな音楽を学ぶことができ、とても感謝しています。

私は将来、プロのオーケストラでファゴットを吹きたいと思っています。その夢を叶えるために、卒業後はドイツかスイスに留学し、文化や自然を肌で感じながら自分の音楽を深めていきたいと思っています。