東京藝術大学入試情報サイト > 飯沼 葵

私は幼い頃から漠然と美大に行きたいと思っていたのですが、将来を考える中でキュレーターのような制作者でない立場から美術に携わりたいと思い、藝大の芸術学科を志望しました。

美学や美術史を学ぶ芸術学科ですが、多分野の講義を通して幅広く専門的な知識が身につくのは勿論、実技授業を通じて、作品完成までの工程やその技法を学ぶことができます。1,2年次に開講される実技講義では、実技学科ではありませんが、日本画、油画、版画、写真、彫刻などの各科の先生方から直接指導を受けられるという特色があります。美術を学問として学ぶだけでなく、作品制作もできるところが魅力的だと思い藝大の芸術学科を志望したのですが、設備の整った藝大での制作では、各分野の制作の難しさも体験した上で、作品を鑑賞し、研究する度にその経験が役に立っていると実感します。さらに芸術学科の学生は4年間で様々な言語を学びます。私は英語、イタリア語、フランス語と多くの言語に触れ、多面的な知識や視点を得ることができました。言語習得は簡単ではなく苦労ばかりですが、こうした学びも芸術学科ならではだと思います。

そうした教育環境も然ることながら、芸術学科に限らず、藝大では尊敬できる学友と出会うことができました。藝大は音楽と美術の学生が同じ教室で学ぶ機会が多くあり、また藝祭などを通じて他科の学生との交流も盛んです。自分のフィールドでない学生との関わりの中で、自分にない価値観や新たな視点を見つけることができ、固定概念にとらわれない柔軟な考え方ができるようになりました。特に芸術学の学生は、非常に尊敬でき、刺激を受ける友人ばかりで、学年の垣根を超えて日々高い意識で学ぶことができます。修士や博士の方々と講義を一緒に受けることができるのも、また魅力だと思います。

学年を重ねるごとに美術への想いは増し、4年間では学びきれないという思いから、現在は卒業後もさらに学びたいと考えています。具体的な展望はまだありませんが、藝大での学びを活かせる仕事ができたらと思っています。