東京藝術大学入試情報サイト > 小林 寛
藝大を目指した理由は、一番夢中になれる環境に身を置きたかったから。美術予備校での勉強は、それまでの人生で一番夢中になったことだと思います。一番絵の上手い人たちは一番夢中になって制作している人たちに違いない。そう思って第一志望を藝大にしました。
デザイナーという仕事には昔から憧れがありました。これも明確な目標とか野望があったわけではなくて、絵を描いたりものを作ったりして、それを人が使ってくれたり、それで喜んでもらえるのっていいな、と思っていたから。中学や高校で自分の作った体育祭Tシャツや修学旅行のパンフレットをみんなが持っているのが嬉しかったから。
デザイン科の一番の魅力は、本気で手を動かすことで自分の知らなかったことまで深掘りできることでしょうか。ここでは様々な分野の課題をやります。僕はこれまでにカバンを作ったり、椅子を作ったり、版画でポスターを作ったりしました。入学した頃から現在にかけて、幅広い課題と向き合うことでその都度好みや将来の目標も変化してきました。初めはあまり関心がなかったような分野も、実は詳しく知らなかっただけで、素材や作り方について調べて、実際に手を動かして様々な壁にぶつかることで面白さと難しさを毎度実感します。これは本を読んだり、人に話を聞いたりするだけではとてもわからないような、特別な体験です。
これまで、将来についてずっと考え、たくさん悩んできました。学部3年の今、進路を決める時期ではありますが、今も悩みながら手探りで動いています。環境が変わっても、自分にとって理想のものづくりを追求しているうちは多分この迷いは続いていきます。世の中にはいろんなものづくりとの関わり方があって、どれも本当に興味深いです。でも、こんなに迷うほどいろいろなことを知れたのは、この大学でいろいろなものを本気で作ってきたから。そして、それらに真剣に向き合っている人たちに出会えたからです。
少し曖昧な展望ではありますが、常に目をギラギラさせて全力で取り組む姿勢だけは誰にも負けない自信があるので、その都度選択を楽しんでいきます。