東京藝術大学入試情報サイト > 味見 麻衣

笛で人を感動させられる演奏家になりたい

私の藝大進学のきっかけは、育った環境が一番大きいかと思います。父は長唄の唄方、母は箏曲、兄も長唄三味線、と幼少よりいつも邦楽に触れて育ちました。両親も藝大出身ですので、専攻はともかく、自分も藝大に行きたいなと漠然とではありますが思っておりました。

小学生より、部活動ではフルートを担当しておりましたので、フルートが吹けるならば構造も似ている篠笛も吹けるのではないか、という単純な考えで中学生より邦楽囃子の笛のお稽古を始めました。

たった竹1本からできているとてもシンプルな楽器なのに、こんなにも素敵な音楽を奏でる事ができる笛の魅力に、徐々に惹かれるようになりました。そしていつか自分も師匠のような演奏家になり、その素晴らしさを多くの人に伝えるようになりたいという意識も芽生え、練習により力を注ぐようになりました。もっと深く笛を学びたいという気持ちと、邦楽以外の音楽にも触れながら多くのことを吸収し、成長したいという思いから藝大邦楽科進学を決めました。

 

同じ志を持つ貴重な同年代との切磋琢磨

入学してからは毎日が忙しく、大変ながらも楽しく充実した学生生活を送る事ができました。自身の専攻の笛だけではなく、長唄、長唄三味線、小鼓、大鼓、太鼓のレッスンがあり、それぞれ邦楽界の第一線で活躍されている先生方にレッスンしていただき、大変刺激的な日々を送らせていただきました。

その中でも、私が一番の藝大邦楽科の魅力だと思っていることは、同年代の仲間達と一緒に合奏ができる事です。 邦楽界全体の話にはなりますが、やはり洋楽と比較しますと圧倒的に演奏家が少数なので、同世代で邦楽演奏家を目指す人を個人的に探す事は大変困難です。しかし藝大は日本で唯一の邦楽科が設置され日本中から同じ志を持つ学生が集まり、切磋琢磨することができます。前期と後期それぞれに総合実習という合奏形式の試験が行われ、本番に向け皆で練習を数多く行い、時にはぶつかり合いながらも一つの目標に向け臨む、これが最大の魅力なのではないかと思います。

また邦楽科は他の科の方々からは堅苦しそう、上下関係が厳しそうである等、よく言われますが、皆さんが思われるほど厳しい環境ではないと私自身は感じております。一学年25名という少人数だからこそなのでしょうか、とても縦の繋がりが強いと感じております。

レッスン後は皆と食事に行ったり、自分が後輩の時分は先輩方から演奏面のみならず生活面でも、分からないことを優しく教えていただいたりした事を今でも覚えております。ご指導いただく先生方との関係性もいわゆる厳格な師弟関係とは異なり、常に学生に寄り添ってくださり、親身に指導してくださっております。

邦楽科を卒業すると就職はせずにフリーランスの演奏家として活動していく学生がほとんどです。 私も大学院修了後は藝大で学んだ事を活かし演奏活動の他、邦楽の更なる普及の為の活動を行いたいと思っております。

 

かけがえのない経験の待つ藝大へ!

藝大は自分の専攻のみならず、たくさんの楽器や仲間と触れ合う事ができ、 自分の今まで知らなかった世界に気付かされる場所です。 また同じ音楽の道 を志す一生涯の仲間に出会える尊い場所でもあると思います。 受験は辛く苦しい期間かと思いますが、乗り越えた先には、かけがえのない経験がたくさん 待っています。 体調管理に気をつけて、頑張ってください!