東京藝術大学入試情報サイト > 西本 裕矢
★自己探求に勤しむことができる学び舎
国際的に活躍する演奏家を目指して
藝大の前身である旧東京音楽学校時代から、日本を代表するピアニストの方々が藝大を卒業されています。私は上野の地で学びたいと考え、2018年に藝高(東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校) に入学しました。私が過ごした藝高は文部科学省のSGH(※)指定校になっており、国際的な演奏家を目指すために海外演奏研修旅行等のカリキュラムが組まれていました。引き続き優れた演奏家になることを目指して東京藝大で研鑽を積みました。
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※ SGH(Super Global Highschool)
高等学校及び中高一貫教育校におけるグローバル・リーダー育成に資する教育を通して、生徒の社会課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身に付け、将来国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を図る高校として文科省が指定するもの。
限られた4年間を有効に活用する
藝大では教養科目に定められた西洋音楽史や鍵盤音楽史、日本東洋音楽史の講義や外国語科目を履修することで見識が深まります。私は教職課程も履修し、教員に必要な姿勢や授業展開の仕方を細かく勉強することができました。藝大図書館では、多岐に渡る文献資料からピアノ演奏表現や解釈についての情報を収集できます。実技に関しては、伴奏法や合奏及び室内楽の授業の先生から演奏家に必要なスキルを学びます。大学の音楽ホールである奏楽堂では、藝大フィルハーモニア管弦楽団等の素晴らしい公演を聴くことができることも魅力の1つです。
成果発表の場として、ピアノ実技試験では担当教員の先生とプログラミングを相談して毎回臨みます。私は藝大3年在学中の初夏に藝大フィルの皆さまとピアノコンチェルトの共演機会に恵まれ、貴重な経験ができました。ピアノ専攻には、藝大ピアノコンクールという挑戦の場があります。また学外でも藝高生から大学院生まで、多くの方が国内外のコンクールに出場されています。これらを通して、学部の4年間という限られた時間を有効に活用することができたと実感しています。
応援してくださる方々に演奏を届ける喜び
学部卒業後は藝大大学院修士課程に進学し、作品研究を進めながら海外留学を行います。藝術性を高めるために、国際コンクールの受験を続けて世界を広げていきます。在学中には高松国際ピアノコンクールで入賞し、アメリカのショパンピアノコンクールで優勝並びにシマノフスキ最優秀演奏賞を受賞しました。2025年3月末にはフランスのエピナル国際ピアノコンクールで、日本人男性初優勝並びに現代音楽賞を受賞しました。
国内外でリサイタルやピアノコンチェルトの機会をいただき熱中できることは幸せです。応援をしてくださる方々に演奏を届けられることが人生最大の喜びです。
温かい交流を続けて 豊かに益々音楽を愛してゆく人に
人生の中での貴重な出逢いやご縁に感謝することで成長への道が開けると信じています。優れた演奏家になるためには、自分の努力と周りの方々からのご支援も必要となります。私は心豊かに温かい交流を続けていきたいと考えています。ピアノ専攻も、門下や他学年の先輩が優しく励ましてくれる温かい環境があります。
さて、藝大への進学を目指す皆さんには様々な選択肢が広がっています。「藝大ジュニアアカデミー」では中学生の段階から、また全国各地で開催される藝大早期教育プロジェクトでは、小学校4年生から中学2年生まで、藝大の先生からの指導を受ける機会が得られます。藝高には2025年度から楽理専攻が新設されました。音楽を研究なさる皆さんが、長い人生を通して豊かに益々音楽を愛してゆかれますことを心から願っています。