東京藝術大学入試情報サイト > 多田 彩乃

★⾃分の「好き」を全⼒で応援してくれる仲間

 

夢があるなら叶えるしかない

⼈形の家が好きだった幼少の頃から建築家を夢⾒ていました。藝⼤に憧れはあったものの、「まさか私が」とは微塵も思ってもいませんでした。

藝⼤が私の⼈⽣ 設計に浮上したのは中三の時。絵を描く習慣がないのに、美術の授業で制作すれば毎度受賞し、描けると「勘違い」したのが始まりです。藝⼤受験をよく知らない⽗に理解してもらうため、難関⾼校受験を乗り越え上京しましたが、実は東京の美術予備校に通うためというもくろみでした。

建築には芸術と⼯学の両⾯があり、意匠の最⾼峰は藝⼤かもしれませんが、⼯学で優秀な⼤学も選択肢としてありました。「⼀番良い環境で建築を学びたい」と「藝⼤⽣ になりたい」という思いが両者譲れず狭き⾨を⽬指すしかありませんでした。藝⼤に何回でも挑戦したい。でも本当に芸術的センスがなかったら、仕切り直して勉強に戻る。⻑期戦を密かに覚悟し、⽗に諦めてもらうため藝⼤⼀本で挑み、幸運なことに現役で⼊学できました。

 

少数精鋭で⼤躍進

藝⼤建築科は1学年15⼈と少数なのに対して、常任の教授・講師は19⼈と、⼿厚い指導を受けられます。建築科の課題は、建築の設計だけでなく、⽊材やコンクリートを⽤いた実⼨の制作から都市設計まで幅広いです。

提出は毎週あり、図⾯や模型を⽤いてプレゼンし、講師のコメントを受け、磨きをかけて翌週再びプレゼンします。この設計課題に加え、1-3年⽣は必修の座学で建築の基本知識を学びます。かなり要領が問われますね。

私は1年次に選択科⽬の履修を全て終え、設計に多くの時間を割きました。学期中は全速⼒で駆け抜けますが、夏冬休みはそれぞれ2ヶ⽉あるので、⾃由な制作や建築を⾒る旅ができます。建築の同志は何かと作るのが好きな⼈が多く、課題以外の制作にも注⼒しています。各々の興味の⽅向が設計課題にも現れて⾯⽩いです。

卒業後は組織設計事務所へ就職予定です。⼤⼿ では院⽣を採⽤することが多く、就職先では私だけ学部卒なので背筋が伸びる思いです。藝⼤でのユニークな制作経験を買われてのことでしょう。

建築は⼈々にとって⾮常に⾝近なものですが、消費社会のなかで芸術としての建築は⼆の次になっている気がします。藝⼤から組織設計を望む学⽣は多くはありませんが、美しい建築・街・社会を呼び起こすために、影響⼒のある企業の中から尽⼒したいと思いました。

 

物語の序章を綴るみんなへ

今振り返ってみたら、⾼校での研究活動も、予備校での準備も、藝⼤での課題も、趣味の制作も、今真っ最中の卒業制作もひとつの系譜の上にあるように思います。それは、初めから決めていたものではなく、毎回純粋に「好き」を追い求めているからでしょう。教授や同期はいつも傍で⾒守ってくれるので、迷⼦になっても「こういうことがやりたいんでしょ」と拾い上げてくれます。

皆さんの今の制作は、⼤学での制作に強く繋がっています。⾃分の「好き」を⼤切に楽しんで準備に励んでください。