東京藝術大学入試情報サイト > 稲葉 友汰

社会と美術の接続点

元々、美術館等の社会と美術の接続点となる場に携わりたいと考えていた私は、4年前に芸術学科に入学し、この春から大学院の修士課程(西洋美術史研究室)に進学しました。

主に18世紀スペインの画家ゴヤの版画芸術に関する研究をしています。

作家に関してはもちろん、版画という図像を伴ったメディアに関しても強く興味を持ったことがきっかけでした。

 

そして、美術史学を専攻する現在においてだからこそ、学部生時代に得られた藝大ならではの経験がいかに自分にとって貴重なものであったのかということを実感するようになりました。それらは私自身にとってかけがえのない視座を与えてくれました。

まずは、学部1・2年次の必修である基礎造形実技の授業です。

版画や油彩・彫刻等のさまざまな造形技法を実践する中で、素材や造形に対する視点というものを自分なりに肌で学びました。

また奈良・京都での古美術研究旅行は、名作の数々を間近に鑑賞できる貴重な体験となりました。

日々の専門的な講義や演習に加え、上記の経験を通じて得られた視座が西洋美術史学を専攻する現在においても、自らの血肉となっていることを感じています。

事実、卒業論文執筆の際に感じたのは、これらの経験が自らの研究の中で重要な要素を形成してくれているのだということでした。

また、学生生活の環境という点で、同級生をはじめとした多彩な人々との出会いが私にもたらしてくれたものも計り知れません。

このことは、この大学が美術や音楽を問わず様々な芸術活動の場となっている故のことだと考えています。

そうした出会いが自身に新たな視野をもたらし、自らの研究を省みる上でも大きな刺激となりました。

 

最後に、これからの展望についてですが、まず自身にとっての大きな課題が修士論文に向けた研究です。さらには、その先に西欧への留学も考えています。

先生方や先輩方からの助言の数々を噛み締めつつ、自身の志すものに向かって研究に取組みたいと思っています。

(2015.6)