東京藝術大学入試情報サイト > 内海 彩花

オルガンと向き合う

なぜ、オルガンをはじめたのか?

これは、オルガン科に入ると必ず聞かれる質問です。
なぜなら、オルガンという楽器の歴史は非常に深く、宗教や様々な時代背景に影響されながら独自の進化を遂げた特殊な楽器である上、他の楽器と比べて触れあう機会がとても少ないからです。

私の家族は代々クリスチャンで、私は生まれた時から教会に通っています。
教会にはとても立派なパイプオルガンがあり、オルガニストである母の演奏を聴きながら私は育ちました。
しかし、そんな恵まれた環境の中で育ったにも関わらず、高校1年生でオルガンを始めるまで音楽には全く興味がなく、まさか自分が音楽の道へ進むとは思っていませんでした。

音楽の道に進むことを決意するのが遅かった分、大変な思いもたくさんしましたが、無事、東京藝術大学オルガン科に進学することができました。

オルガン科の人数は、だいたい一学年に2、3人で、練習は学内にある4種類のオルガンを使用しています。
1年生は練習も試験もこの教室の楽器で行いますが、2年生になると、教室だけでなく奏楽堂パイプオルガンでの練習ができるようになり、試験も奏楽堂で行われます。
この素晴らしい楽器と空間を一人占めして練習できるなんて、なんて贅沢なんだろう、と練習に行く度に思います。

オルガン科では、研究発表や試験のほか、藝祭や、学生が自発的に行う外部での演奏会もあり、演奏機会は豊富です。

オルガンのレッスンは週1回1時間あり、通常レッスン以外にも外国から先生をお招きしてマスタークラスを行う機会もあります。

またオルガン科独自の授業としては、英語の資料を和訳しながら、作曲された時代の様式にそった演奏法を研究する「様式研究」、オルガンの基本構造・時代や国ごとに違う楽器の特徴・レジストレーションなど、オルガンについての基礎知識を培う「オルガン概論」(学部1年生)、通奏低音や即興実技などがあり、とても充実しています。

毎日毎日、オルガンという楽器と向き合い学んでいくなかで、やるべき事の多さに嫌になってしまうこともたまにはありますが、このような素晴らしい環境で、自分の好きなことに好きなだけうちこむことができて、私は本当に幸せです。

(2016.06)