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お堅い油絵しか描かせてくれない!?

美術とは全くかけ離れた進路を考えていた高校時代、受験直前になって美大受験を決意しました。

美術予備校にも行ったことがなく、木の炭で絵を描くことができると知ったばかりの私は、藝大の油画専攻はお堅い油絵しか描かせてくれない学科だと勘違いしていたので現役の時には受験せずに私立美大の油画専攻へ入学しました。

美大へ進学したものの違和感を覚えていた時期に藝祭の展示を観たり、美大生からの情報収集をしたりするうちに、次第に藝大の油画専攻に対する偏見が消え、むしろここなら自分が思い描いていた美術家になるための環境が得られるかもしれないと思い、志望に至りました。

そして実際藝大に入学して4年目になりますが、入学できて本当によかったと心から思っています。


油画専攻の授業は毎年学生達の反応を見て内容や方針を変えているようなので具体的なことは述べられませんが、教員と学生間の関わり合いは双方向に真摯だということは言えます。

また近年油画専攻内で専門的な英語のクラスや海外研修用の奨学金制度が開設され、アーティストとしてグローバルに動けるように実践的な教育がされている点は学生としてとても嬉しく思っています。

藝大は学生の数が少なく、学生交流の機会が少ないのではと憂慮していましたがその分、専攻や学年の垣根を越え、更に世界各国からの留学生達との国籍を越えた縦横無尽な交流ができ、様々な考えや感覚を共有することができます。


現在の個人的な関心事はアジア圏の美術・文化・宗教とそこから見える日本の独自性についてなどです。

昨年度は先述した奨学金制度を利用してタイに渡航し現地の文化に触れ、藝大との提携校であるタイ国立シラパコーン大学で滞在制作をしてきました。

帰国後は成果発表として展示の機会などもいただき、充実したサポートと共に興味のあることに全力で取り組めるとても有意義な学生生活を過ごしています。

今年は最終学年なので目前に控えた卒業制作で最高の展示をできるようにタフな精神を持って生きていく!というのが目下の課題です。

(2015.6)