東京藝術大学入試情報サイト > 上田 華奈
ちょっと他では類を見ない
高校生の頃にジュエリーデザイナーになりたくて美術を始め、専門学校か私立大学で学ぼうと予備校へ通っていました。
けれど、そこで知り合った藝大生の講師の方々が面白い方ばかりで、こんな人たちが集まるところへ行けばたくさんの面白いことや人に出会えるんじゃないかと思ったことが、藝大受験を決めたきっかけです。
実際入ってみると、藝大の中で得られる人と人との繋がりは、ちょっと他では類を見ないところがあるなと感じました。おそらく他大学ではできない、密な関係が築けるかと思います。
特に私の在籍している工芸科は少人数で構成されているので、同級生はもちろん先輩とも後輩ともまるで家族のような繋がりができ、非常に貴重なことだと思います。
現在はそんな工芸科の鍛金研究室で、基礎的な知識や技術を学んでいるところです。
まだ自分の作品を作るというよりもその前段階として、道具の調整や手入れをしたり、小さく簡単なものを作ったりして、修行をする感覚で過ごしています。
初めて触る材料と道具を相手にした不慣れな作業はなかなか難しくて、手間取ってしまい歯痒いことも多いですが、知らないことを知り、できなかったことが少しずつできるようになる喜びをいつも感じています。
ジュエリーをやりたかった最初の気持ちを忘れたわけではありませんが、今はそれだけでなく、人間が身体を飾ることの意図や歴史、当人や他人への影響などを考えながら物作りをしたいなと考えています。
数年前よりも視野が広くなり、興味の範囲も多方向に向くようになってきたのは、この2年間を藝大で過ごすことで、高校時代などには知り得なかった様々なものに触れてこられた結果だと思います。
卒業後のことは迷いが多く決めきることができませんが、まだやってみたいことがたくさんあります。
やりたいと思ったことを、自分次第で自由にやれる場所が藝大というところですから、興味や好奇心を抑えずに少しずつでも多くの物事に関わっていきたいと思っています。
(2015.6)