東京藝術大学入試情報サイト > 市原 昇

「ものの考え方」

美術系大学の建築科は工学部系のそれと違い、1年次から設計を学ぶことができます。

特に藝大は1学年の人数が15人程度と少ないうえ、21人の先生方から丁寧で細やかなアドバイスを受けることができ、学習・研究する上で最高の環境が整っています。

全員に製図・模型製作のための作業スペースが用意されているのも、他大ではほとんど見られないところです。

大学でのほとんどの時間を、ひと月に1回程度出る設計課題に費やします。担当の教授や助手の方々に進捗を発表する機会が週に1回あり、それに向けて設計を進めていきます。

他大では課題をこなしても講評会に上がるのは一握りの生徒に限られますが、藝大ではひとりひとりのプレゼンテーションに対して教授・講師・助手の方々の意見を聞くことができるので、設計に関わる様々な考え方や他人の設計手法を知ることができますし、アイディアを他人に伝える力をつけることにも繋がります。


1年次から4年次までが1つの製図室で課題に取り組んでいます。そこでは学年に関係なく相談し合える関係ができています。

全学年合わせても60人なので、課題外においても家族のような付き合いがあります。

大学院の研究室や建築科図書室が同じフロアにあり、すぐに資料に当たったり、助手に相談したりすることができます。

教授との距離も極めて近い大学だと思います。

建築科外との交流も盛んで、美術学部に留まらず音楽学部と活動することもあります。

舞台美術やインスタレーション、展示会場構成などに携わる機会も少なくありません。規模は小さくても、模型ではない1:1のものを作る経験ができます。


私は藝大の大学院に進んでから設計の仕事に携わりたいと考えていますが、建築科の進路は幅広く、公務員になる人もいれば大工になる人もいます。

設計課題では、建築に限らずあらゆる分野に応用が可能な「ものの考え方」を身に付けていきます。建築科は設計を専門にしていますが、同時に汎用性の高い能力をつけられる場所でもあると感じています。

(2015.6)