東京藝術大学入試情報サイト > 盛川 奈々

ホワイトテリア

ある寒い朝、上野公園で私の目の前を1匹のホワイトテリアが横切っていきました。

2014年冬、ちょうど藝大入試の1次試験に向かう時のことです。私はその犬に見覚えがありました。

藝大附属音楽高校の入試と合格発表の日にも出会った犬だったからです。

私は3年ぶりの彼を見て嬉しくなり、緊張もほどけ、元気になって会場へ向かうことができました。


そんな彼と周りで支えてくださった方々のおかげもあって藝大生になることができ、早くも1年が過ぎました。

藝大に入学して何よりも良かったと思うのは、さまざまな人に出会えたことです。

お昼を一緒に食べ、楽しくおしゃべりをしながらお互いを知っていく友人たちと共に深めた室内楽や弦楽合奏の授業は、私にとって特別なものでした。

指導してくださる先生方の作品背景をはじめとした楽しいお話や、同年代の友人がくれるアドバイスには多くの刺激をもらい、感謝しています。

私は作曲家だけでなく、一緒に弾く人たちとも丁寧に向き合う演奏をしたいと思うようになりました。


本が好きな私にとって、藝大の図書館は落ち着くところです。

古いものから新しいものまで色々な楽譜や本が並べられている本棚の間を歩いたり、本を手に取ったりすると神聖な気持ちになります。

小説なども借りに大学近くの文京区立根津図書室にも通っています。今は古代ローマの興亡が記された塩野七生著『ローマ人の物語』を読んでいます。

読み進むにつれ、西洋音楽を学ぶ私にとって、ヨーロッパの礎を築いた古代ローマ人の習慣や性質に触れることは大切だと感じるようになりました。


これからは藝大の素晴らしい環境を生かして、音楽はもちろん他の分野への好奇心を大切にし、経験を積み重ね、将来は作品の魅力を伝える手段として曲目解説も書ける演奏家になりたいと考えています。

そして、いつも周りへの感謝と気遣いを忘れずに大学生活を充実させていきたいと思います。

(2015.6)

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私がお世話になっているお医者様に声をかけていただき、同級生とコンサートをさせていただいた時の写真です。このコンサートは母の日を記念したコンサートだったため、カーネーションを意識して赤いドレスを着てみました。ソロ、二重奏、弦楽四重奏、ピアノ五重奏など様々な編成でプログラムを組み、練習も含め、充実した時間を過ごすことができました。

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徳島文理大学とウィーン国立音楽大学から奨学金をいただき、オーストリアで行われたISA(International Summer Academy)2014に参加させていただきました。この写真はその時の受講生コンサートの様子です。ヨーロッパのお客さまの温かさが何よりも心に残り、また素晴らしい環境と文化に囲まれて勉強することが出来てとても幸せでした。

プロフィール

3歳よりヴァイオリンを始める。第62,63回全日本学生音楽コンクール東京大会入選。大阪国際音楽コンクール、山手の丘音楽コンクール等入賞。第5回徳島音楽コンクールグランプリ受賞。第15回ウィーン国立音楽大学徳島文理大学共同主催インターナショナル夏期講習会・ウィーン派遣奨学金給費生に選出され、ISA2014(オーストリア)に参加する。Alte管弦楽団、山形大学工学部・米沢女子短期大学アカデミーストリングス、秋山和慶氏指揮とくしま記念オーケストラと共演。
これまでにL.Baracaldo、江口有香、小林健次、岡山潔、漆原朝子、植村太郎、P.Amoyal、H.Zackの各氏に師事。また現在、室内楽を川崎和憲、河野文昭の各氏に師事。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、現在東京藝術大学2年在学中。