東京藝術大学入試情報サイト > 大柿 鈴子
スピードとスタミナ
私は、藝大美術学部の油画専攻出身です。
大学2年のとき、ヌードモデルの肩が呼吸で動いている様子を見て、絵では表現できないものに魅力を感じ、表現媒体を絵から映像へ変えました。
油画の大学院に進もうか考えていたところ、MEDIA PRACTICEという映像研究科メディア映像専攻の展示に興味をひかれ、志望しました。
映像研究科には、美術系以外にも、工学系や理系など、さまざまな背景をもつ同級生たちがおり、教授陣も多彩で、それぞれの分野のプロフェッショナルです。
また、機材や施設も恵まれていて、「試してみたい!」と思ったことはすぐ試すことができるような環境です。
課題が終わらなくて、よく校舎に泊まって段ボールの上に寝たりしていましたが、思ったことをすぐに実行するフットワークの軽さとアイディアをひねりだす頭はかなり鍛えられました。
1年に2回ある展示の機会では、展示内容、広報、デザイン、webページ制作などを学生同士でそれぞれ分担し、仕上げていきます。
最初から上手くやろうとするより、やりたいことをやってみて、上手くいかない方法を発見していった方が有意義な展示になっていると思います。
ただ、大学院は2年間しかありません。そのなかで自分のやりたいことをやるためには、スピード感とスタミナが必要だと思います。
映像研究科には、メディア映像の他に、映画専攻やアニメーション専攻もありますが、どの専攻でも黙々と作り続けて発表している人を尊敬しますし、強いなと思います。
私は今、絵を描くことによって見えるものと、映像にすることで見えなくなってしまうものを表現しようと映像を制作しています。
最近は、大学院を修了した後に、長く制作を続けていける方法を考えていて、一度就職して世の中を知りたいと思っています。
美術と関わりのない人たちがほとんどの中で、美術を内側からだけでなく、外側からも見たうえで、自分が何をしたいのか考えていきたいです。
(2015.6)