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音の奥行き感

私は音響心理学を専攻するためにこの学科を志望しました。

どんな作品でもいいのですが、音に感動したり、あとで音が心に残っていたりした経験はありませんか?
人はどんなとき、どういう音に感動するんだろう?どんな音が心に残るんだろう?
そんな、音と心とのつながりを調べられたら楽しそうだな、しかも藝大で!と思ったのがきっかけです。

在籍している音楽環境創造科は主に千住キャンパスで授業を行っています。
千住キャンパスは複数のスタジオを持っており、音響に関しても実践的な勉強ができる環境だと思います。

授業に関しては、専門的な勉強ももちろんですが、語学や一般教養なども学習する(しなければ卒業できない)ので、一つに集中するわけではなく、芸術について、そして音について幅広く、多角的に学んでいます。

音環生は千住キャンパスという少し上野から離れたところで学んでいますが、藝祭などで上野の学生と交流する機会は多くあります。


私は「音の奥行き感」についての実験、研究をしています。

私はサウンドデザインで人の作品に関わることがあるのですが、共同制作になるので、「どこにどういう音をつけるか」とか、「この音をもっとこういう音にしたい」というようにコミュニケーションを取りながら作品を作っていくことになります。
話し合いの中で「奥行きのある音」という言葉が出てきたときに、なんじゃそりゃ!と思ったことがきっかけなんですが、そういう、さらっと使ってしまう「音を表現する言葉」の中になにが含まれているんだろう、ということに興味があります。

私の実験では、参加者の方々に質問(いまの音はどのくらい奥行きがありましたか?というような)をしますが、「感じてくれていること」がそのまま「回答」として返ってくるわけではないんだなと感じます。「本当に感じてくれたこと」をそのまま答えてもらうにはどう質問をしたらいいんだろうっていうことが一番の課題ですね。

 

ここでいろいろなことを勉強して経験したので、ゆくゆくは音に関する仕事に就きたいと考えています。
色々な人たちとコミュニケーションを取って、日々新しい発見をしながら、これからも様々な音について考え続けていけたらいいな、と思っています。

(2016.6)