東京藝術大学入試情報サイト > 中山 裕佳
アンテナを張る
音楽に関わりたいという漠然とした思いがあったが、私は音楽のみならず歴史や美術にも興味を持っており、音楽との具体的な関わり方を明確に絞れずにいた。
音楽について多角的に学べる上に、先輩方の卒業後の進路も多岐に渡っており、様々な選択肢の広がっている楽理科なら、音楽との関わり方を自由に模索できそうだと思い、楽理科を志望した。
1年生のときから決められたテーマに関して自分で調査し、論理を組み立てて発表する機会が多く与えられ、その中で自分の興味分野と真剣に向き合うことができる。
私は2年生で受講した「初級演習 音楽民族学」を通して、予ねてから興味があったハンガリーの音楽について研究していこうと決意することができた。
しかし、そうして学んだことを生かすには、自発的に行動する必要がある。
例えば私は、楽理科で毎年開催される楽理科研究演奏会で、ハンガリー民謡を編曲した変奏曲を作曲し、スクリーンに解説やハンガリーの映像を映しながらピアノ演奏をした。
また、研究演奏会での演奏がきっかけで、映像・朗読・音楽による奏楽堂企画「或いは、鍵盤上の青春」にピアノ演奏で出演することができた。
この奏楽堂企画では、器楽・声楽科、映像を担当する美術学部の先輩等と交流することができた。
こうして授業の枠を超えた活動に参加することで、他学部の学生と交流する機会を得ることもできる。
このように、東京藝術大学という場は、学ぼうとしてアンテナを張れば素晴らしい機会が至るところに転がっている。
才能に溢れた仲間たちと活動するのは、自分の力不足を実感して時に辛いこともあるが、その分一つ一つの活動で学ぶことも多く、成長の幅も広がるのではないかと思う。
こうした学内・学外での活動を通して、入学前には漠然としていた「自分と音楽との関わり方」が少しずつ輪郭を持ち始めている。
私はこの先、卒業論文や大学院での研究を通してハンガリーの音楽や文化政策について学びたいと考えているが、ただ学問として研究を完結させるのではなく、研究した内容を社会に生かしてゆきたい。
ハンガリーやその他の国の文化政策から日本の文化政策に活かせる点を探し、今後の日本の文化活性化にも貢献できたらと考えている。
(2016.6)