東京藝術大学入試情報サイト > 鈴木 美郷

恵まれた環境に置かれて

地元札幌の高校に音楽科のピアノ専攻で入学しましたが、子どもの頃オペレッタに参加し、いつか本格的に声楽を学びたいと思っていた私は二年生の時に声楽専攻に転向にしました。そしてこの先も声楽を続けていくにあたってよりレベルの高い環境に身を置き、大学の四年間を学びたいという想いから憧れの東京藝術大学を受験することになりました。

晴れて入学を果たし上京した私は、高校の音楽科は 15 名程度と少人数でしたので、声楽科だけでも約 50 名、他科も合わせると 200名以上ともなる藝大に入学直後は戸惑いがありました。しかし、いつでも音楽にあふれているこの伝統ある藝大の校舎で過ごす内にその不安はすぐに払拭され、今では志が高く優秀な同期の仲間と共に過ごす日々は刺激的で、切磋琢磨しながら成長していくことのできる喜びと充実感をかみしめています。

普段の学生生活では専攻実技のレッスンに加え、声楽科ならではの授業としてオペラ実習、合唱、声楽演習、その他専攻以外では副科実技やソルフェージュ、音楽史など幅広く学ぶことができます。

オペラ実習では自分達で選んだオペラの一場面に音楽や動きの演出を考えて、授業で発表し合います。それに対して指揮者、演出家、ピアニストの三人の先生方がそれぞれ専門家の視点から指導して下さり、実践的でとても為になります。

合唱の授業は三年生まであり、年末に行われた演奏会では一年生から三年生までが一緒にメサイアを演奏しました。みんなで一つの作品に取り組み、本番に向けて力を合わせて作り上げていく作業は大変なこともありますが、やりがいがあり、本番後の達成感は何物にも代え難く毎回大きな感動があります。

さらに声楽を深く専門的に学びたく、現在は大学院で独唱科に進み、留学も視野に入れながら声楽家としての将来を模索しながら奮闘しています。そのような時に国内外の第一線で活躍されている先生方や先輩達が身近にいらっしゃることは私の大きな励みとなり、目標と意欲を与えて下さいます。この恵まれた環境で学べることに感謝しつつ、これからも努力を重ねていきたいと思います。