東京藝術大学入試情報サイト > 脇坂 明日香

私は親戚の紹介で幼い頃習い始めた楽器がお箏でした。初めは習い事として続けているだけでしたがコンクールをきっかけに、ただ弾くだけでなく曲の情景や心を聴いてくださる人に伝えられるということを体験しました。そしてたくさんの素晴らしい先生方の演奏を聴き、作り出す世界観と音楽から溢れるものに感動し、私も人の心を動かせる演奏家になりたいと思ったのが藝大を目指したきっかけです。

‪学生生活では、存分に音楽を勉強できる環境と、見たことも触れたこともなかった様々な楽器や芸術が身近にあり、私の中にあったお箏の可能性が広がりました。専攻では流派の違う先生方にレッスンしていただいたり、学校での演奏会では演奏させていただけるのはもちろんですが、舞台をサポートする裏方を務めることも多く、1つの舞台でどれだけの人が関わっているのか、そして将来自分が演奏者として外に出た時に大切なこともたくさん学んでいます。邦楽科では先生方、先輩方を敬うことを大切にしています。入学する前までは”厳しい世界”というイメージでしたが、今では”厳しい”だけでなく”尊敬”と”感謝”で、人間性を高め自分の音楽にも自分自身の将来にも影響する大切な事だと感じます。

‪そして何より、生田流の8人の同期と共に成長し高め合える環境がある事と、年の近い同じ夢を持つ友達と出会えたことは私にとってかけがえのない存在になりました。学科の違う人たちと一緒に演奏できる授業で即興演奏と言う授業を取っていましたが、私は特にこの授業でたくさんの人たちの個性と様々な楽器の魅力、発想の無限さ、音楽の自由さ、そして自分の楽器の魅力も改めて感じることができました。芸大にはこの様な授業がたくさんあります。

‪私は学校を卒業してからもお箏の演奏家として活動することを望んでいます。伝統音楽を継承することを担う立場であり、そして視野にとらわれずお箏の可能性を信じていきたいです。音楽は人と心を共有でき、人と繋がれる存在です。今まで出会えたたくさんの方々、家族の支えで今の環境と夢があることを常に感謝しながら、私も1人でも多くの方と音楽を通して繋がり、音で幸せを届けられる演奏家になりたいです。