東京藝術大学入試情報サイト > 後藤 早恵
地方出身の私がチェンバロという楽器にどのように出会い、藝大入学に至ったのか、よく人から尋ねられる部分ですが、それについては、今も大学で師事している先生が講習会の講師として定期的に宮崎に来られていたという幸運によるものだという風に思っています。
魅力的な響きのする楽器と、幼かった私にも興味深い指導をしてくださる先生の存在は、チェンバロを学ぶ決意をするには十二分な理由でした。
チェンバロが持つ表現力の幅広さと古楽の奥深さについては、入学後により一層知ることになるのですが、それは、一人でひたすら楽器と向き合う時間の中ではもちろんのこと、それ以外に、他の学生との関わりの中にも多くあります。
古楽科には、チェンバロだけではなく、弦楽器、声楽、リコーダー、と多種の専攻生がいて、更にその中にはモダン楽器の経験や、或いは他大学での学びや社会人生活などの経験をしている者も少なくありません。
そのような多様な学生同士で音楽を作り上げるアンサンブルの授業では、新たな発見があり、多くの刺激を受けています。
また、年に数回設けられる海外からの招聘教授によるレッスンでは、自らでは気付けないことを沢山学ぶことが出来ています。
今後は留学先で更に演奏技術を磨き、かつて自分が先生からきっかけを頂いたように、自らの演奏で楽器の魅力を伝えられるようになって、まだまだ浸透させる余地のある地方や出身地などで、古楽の素晴らしさを伝える活動をしたいと考えています。