東京藝術大学入試情報サイト > 森 惠海

自分が好きなことを仕事にして生きていくために

私は小さい頃からアトリエに通っていて、物を作ったり絵を描くことが好きでした。高校1年生の夏頃までは理系の大学に進学することを考えていたのですが、将来自分が好きなことを仕事にして生きていきたいと考え、美術大学を目指しました。

工芸科を選んだのは、平面作品から立体作品まで幅が広いことや一点物であること、素材を直接触って自分でものづくりをするという点などに惹かれたからです。また、他にも美大がある中で東京藝術大学を選んだ最初の理由としては、両親に美大に進学したいと話した時に「美大に行くなら藝大に行きなさい」と言われたからでした。

しかし、予備校に通い始め、様々なことを学んでいく中で、藝大は高みを目指して美術に本気で向き合っている人が集まる場所だと考えるようになったため、「どうしても藝大に行きたい」「本気で美術と向き合う人達の中で、刺激をもらいながら学んでいきたい」と思うようになりました。

 

ガラスの表情に魅せられて

藝大工芸科の学生の1日としては、主に午前中に実技の必修授業があり、午後は選択した座学や制作の続きなどをしています。年間の行事としては、 コロナ禍があけて新入生歓迎会、スポーツ大会、藝祭、研修旅行など様々なイベントが復活したので、制作だけではない多くの刺激や体験があり、とても楽しいです。先生方も先輩もとても接しやすく、親身になってくださるので、技術や考え方を聞くだけでなく、ちょっとした相談も気軽に出来る過ごしやすい環境だと思います。

そして、同期も色んな考え方や感覚の人がいるので、一緒に過ごしているだけで様々な発見や学びがあり、とても面白いなと感じています。その影響で、大学に入る前と後で自分の考え方や感覚も良い方向に変わっているなとも実感しています。

工芸科は1年生では共通の基礎課程に所属し、2年生から専攻を選択します。素材造形の中でも私はガラス専攻を選びました。1年生の実材実習でガラスを体験する前からガラスの透明感や爽やかさ、キラキラとした印象に惹かれていました。そして、実材実習で吹きガラスを体験した際には、息を吹き込むことで一気に形が変わる工程にとても魅力を感じました。

また、私はまだ試したことはないのですがガラスに漆を組み合わせたり、七宝を施したりなど様々な技法や素材と合わせることも出来ると知り、表現の幅の広さにも惹かれてガラス専攻に進もうと決めました。2年生になって私が思っていたガラスの印象だけでなく、マットな質感や荒々しい表現、重厚感のある表情もあると知って驚きましたが、今まで知らなかったガラスの表情にも魅力を感じています。

学部卒業後は大学院を受験しようと考えています。現在学部3年ですが、まだまだ学び足りないと感じているので、大学院で素材や技法についてもっと学び、自分が作品を作る意味についてもより深く考えていきたいです。そして、修了後も作家として作品を作り続けていきたいと考えています。

 

 受験のためだけでなく、入学後の制作のために

受験対策として予備校で学んでいたことが大学に入ってからの制作に繋がっているなと感じることが多々あります。なので、今学んでいることは受験のためだけではなく、将来の自分が作りたいものを作れるようになるためだと思って取り組んでもらえたらいいなと感じました。

また、美大を受験しようと思った初めのきっかけは感覚的だったり、曖昧だったりする人がいるかもしれませんが、「作ったり描いたりすることがなんか好き」 という気持ちだけでもこれからの制作を頑張るための力に十分なると思うので、 悩みながらも自分の気持ちを信じて頑張ってほしいです。

 

在学中の作品

『どうかこのまま』
素材:ソーダガラス 技法:キルンキャスト、ホットワーク、バーナーワーク