東京藝術大学入試情報サイト > 大園 恵実

私は小さい頃からとにかく絵を描くことや物作りが好きで、自然と中学生の時には美術系の道に進みたいと考えていました。

その頃から出来るだけ様々な展示に足を運び、伝統工芸に興味を持ちました。そんな中、明治工芸の七宝作家、並河靖之氏の『紫陽花図花瓶』という作品を見たとき、鳥肌がたち心を強く動かされました。初めて目にした時の衝撃は今でも鮮明に覚えています。その時、美術の持つ力や影響の大きさを肌で感じ、自分で素材を生かした物作りをしてみたいと思うようになりました。

藝大の工芸科、彫金専攻に属する七宝の設備が整っていると知り、そのような環境で学びたいと強く感じて受験をする事に決めました。

工芸科は1学年30人で、2年になると彫金・鋳金・鍛金・木工漆・ガラス陶芸・染織と6専攻に分かれるので、かなり少人数の環境で学ぶことができます。また私の在籍している彫金専攻は学部から修士、博士まで一つの部屋で学んでいるので、多くの人にアドバイスして頂いたり相談に乗って頂くこともあります。先輩方の作品を間近で見ることが出来るのも、この環境の魅力の一つです。

また藝大は他の学科とも距離感が近く意見交換したり、他の学科ならではの知識や技術から学ぶことも沢山あります。

自分の本当に好きなことを進路や将来の目的とすると、好きであるが故に上手くいかなかったときの悩みはあります。しかし、その分作品が完成した時の愛着や達成感は大きく、次への意欲につながります。恵まれた環境で多くのことを学び、自分のやりたかった事を実現するための技術を身につけ、日々作品と向き合えるのはとても幸せです。

自分はまだ金属という素材に触れて2年足らずですが、この大学の利点を最大限に生かして、広い視野を持って色々な分野に手を伸ばしてみたいと思います。それを実現できるのは藝大の一番の魅力だと思います。

今後は、私が初めて並河靖之氏の作品を見たときに感じたように、いつか誰かの心を強く突き動かす作品が作れたらと思い、日々努力していきたいです。