東京藝術大学入試情報サイト > 清水 伶香
私はヴァイオリンを始めたころ、身近に藝大に在学していた先輩がいて、その先輩たちや当時の先生との会話の中で藝大の存在を知り、憧れの場所として意識し続けていました。高校受験の際は他の音楽高校を受験することも考えましたが、やはり以前からの憧れが決め手となって音楽学部附属音楽高校に入学し、そこから藝大を目指しました。現在も高校時代の実技担当教員に引き続き師事しています。
とはいえ、藝大に入学して変わったことも多くあります。大きな変化のひとつは、高校時代よりもたくさんの先生から日常的に指導を受けられるようになったという点です。弦楽専攻は1年次に弦楽合奏や室内楽などの授業がありますが、それらの授業は弦楽器の先生方が数回ごとに交代して、年間で10名以上の先生が担当しています。同じ弦楽器といえども、違う楽器の先生からの指導は特に興味深く、毎回新しい視点を得ることができました。
もうひとつの大きな変化は、年間を通して公開レッスンやマスタークラスに参加できるという点です。藝大では海外で活躍している演奏家・指導者が特別招聘教授としてレッスンを行っています。弦楽専攻では、また、ほぼ全てのレッスンは聴講が可能なほか、藝大構内でのコンサートで実際に演奏を聴くこともでき、学ぶチャンスがとても多いと感じています。
そのような環境で学ぶ中で特に重要だと感じているのは、自分の考えを持ち、それをアピールする力です。たくさんのチャンスがある代わりに、限られた回数のレッスンや授業、また学生同士でのアンサンブルでできるだけ多くのことを得、それらを質の高いものにするためには、受け身の姿勢で終わるのではなく、自分の疑問や主張を共有する必要があります。その手段のひとつとして、語学力も含まれるでしょう。演奏の技術はもちろんですが、これから音楽家として成長するには、幅広い能力・知識が求められていくのだと思います。ひとつひとつの学びの機会を大切に、今後も精進していきたいです。