東京藝術大学入試情報サイト > 竹原 結
内面のフラストレーションを作品表現の燃料に
小さい頃から長編アニメーションの制作に興味があり、いつか作り手に回りたいと考えていました。しかし年齢を重ねるにつれて溜まっていったフラストレーションが、自分自身の内面世界を視覚的に動かしたいという燃料に変わり、表現欲求の方向性が変化していきました。
現在専門的に制作している短編アニメーションの世界に意識的に触れたのは学部2、3年頃だったと思います。当時はグラフィックデザインを学んでいましたが、自分はこれが作りたかったんだと納得したし、どう作ればいいのかと悩んだことを覚えています。藝大アニメーションに興味を持ったのもその辺りからで、進みたい方向に近いと感じたので進学を決めました。
バラバラな同級生だからこそ得られる新たな視点
多角的な視点を持って制作するための様々な制度が設けられている専攻だと思います。例えばアニメーション専攻には海外への短期研修を含む国際交流の機会がいくつか設けられており、奨学金制度も利用することができます。 私自身も日中韓の学生で行う国際共同制作演習 <Co-work>*に参加しました。異なる文化を持つ学生たちとの交流は私の短い制作人生に活を入れてくれました。
アニメーション専攻は基本的に個人制作ですが、一学年が定員16名と少人数なので意見の交換がしやすい環境だと感じています。同級生たちと学部時代に学んだ内容も人格もバラバラですが、共通しているのは同じ目線で制作できる環境を探していた事だと思います。学部時代は内向的な制作を行っていたため、だからこそ交流の中から新たな視点が生まれる事も多く、入学して良かったと心から思っています。
修了後は作家として自身の制作を続けつつ、ご依頼を受ける制作も行いたいです。また、近いうちに長期留学し固くなっている部分を何かしら解す事が作品の発展に繋がると考えています。
私欲を見失わずに
個人で制作しているとどうしても自分のいる場所が分からなくなったりすると思います。それは継続的に今の私も悩んでいる事でもありますが、アニメーションに溢れている環境に飛び込む事で少し変わったようにも思います。私は映像系の学部ではなかったので、より強くそれを感じています。
自分はこれが作りたいんだという私欲を見失わず作り続けていきたいですね。 お互いに…
国際共同制作演習<Co-work>について
時期は修士1年時の6月〜8月ごろです。そのうち対面で制作を行ったのは7月末〜8月頭の間のみで、その期間は毎年の主催国に集まって制作を行います。2023年は横浜集合でしたが、 2024年は北京へ集まります。
まず6月初旬に共通の制作テーマを与えられてコンセプトボードを一人一案制作しました。(2023 年のテーマは「The Body」でした)
その後6つのグループに分かれて、どのようにそれぞれのアイデアを合わせていくかオンライン上で何度か話し合い、企画を固めていきました。そして、2週間のうちに約2分間のアニメーションを制作し、音楽学部の方に音楽を制作していただきました。
年明けにはタイにてシンポジウムも開催し、3か国の学生とタイの学生で交流を行いました。国を超えた同年代の学生たちと交流を持てる貴重な機会だと思います。
在学中の作品
「ねんねん」修士1年次作品
立体アニメーション表現特別演習のグループ課題
レジーナ・ペソア氏のワークショップで制作したエングレービング技法のアニメーション