東京藝術大学入試情報サイト > 山原 さくら

私が本学を志したきっかけは、学部3年生の頃、ふと思い立って本学の大学院定期オペラ《コジ・ファン・トゥッテ》を観に訪れたことでした。初めて校門を通り、奏楽堂に入り、ドキドキしながら観劇しました。再び校門を通る時には感動でいっぱいでした。出演者の皆様の歌の素晴らしさはもちろんですが、演じている姿がとても幸せそうで、私もここで勉強したいと憧れの気持ちを抱いたことを覚えています。

オペラ専攻では、1年次は年3回のオペラハイライト、2年次はオペラ定期への出演の機会をいただけます。普段はその本番を目標に、指揮者の先生や演出家の先生との稽古やコレペティトゥアレッスン、舞台表現法・バレエ、イタリア語などの授業を受けて、オペラに必要な知識を学びます。私は外部からの入学だったので、当初はプロの研修所のように整った環境に毎日驚いておりました。それらの授業だけではなく、それぞれの本番の際はオペラ専攻全体で裏方も行うので、専攻内で協力し合える、学年を超えた関わりもできます。今年の10月には私自身思い入れの深い作品でもあった、《コジ・ファン・トゥッテ》に出演させていただいたのですが、その際も衣装や舞台などのお仕事をオペラ専攻生が担ってくれました。このサポートがあったからこそ自分は舞台に立てたんだということを再確認できました。また、共演者の同期や先輩の協力と先生方のアドバイスなどのおかげで、2時間を超えるオペラをやり遂げることが出来ました。憧れていた舞台に実際に立てた喜びは今までに感じたことのないものでした。

現在、日本では沢山の演奏会やオペラ公演が開催されていますが、歴史や文化の違いから、やはり多方面でヨーロッパなどとは差があると感じております。今現在は私が日本で学んだことを活かして、出来る限り聴き手に伝わるような演奏を心がけていますが、将来の展望としては、クラシック音楽が生まれた地で学び、現地で通用する歌い手になること、そしてそこで学び得たことを後世に伝えて行きたいと思っています。また、もし作曲家が生きていたら、この役はあなたのために書いたんだと言わせられるような唯一無二の歌い手になりたいです。

山原さくら ソプラノ

京都市立京都堀川音楽高等学校を卒業時に卒業演奏会に出演。京都市立芸術大学首席卒業。卒業時に京都市長賞、京都音楽協会賞、真声会賞を受賞。卒業演奏会、関西新人演奏会に出演。第67回全日本学生音楽コンクール大阪大会入選。平成29年度青山音楽財団奨学生。これまでに、津幡泰子、折江忠道、山本真由美、平松英子の各氏に師事。第65回藝大定期オペラ 《コジ・ファン・トゥッテ》にてフィオルディリージ役を務めた。現在、東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程オペラ専攻2年に在学中。(掲載時)