東京藝術大学入試情報サイト > 角田 圭吾

自分だけの芸を見つける

僕はお囃子の家の生まれではありませんが、幼少期からずっと和太鼓をやっていました。
高校に入り将来どのように生きていこうか考え始めた時、より歴史の深い本物の伝統芸能をどうしても学びたいと思い、現在のお囃子の師匠に入門したのが藝大受験のきっかけです。

合格することができた後は非常に濃密な学生生活が待っていました。

年に二回行われる一般公開の演奏形式の試験や、それに向けての仲間や先輩方との練習は、大変だと感じる一方楽しさや充実感のほうがはるかに大きく、毎回本当に勉強になっています。

また、普段のレッスンでは自分の専攻楽器はもちろんのこと、それ以外にもほかの楽器を履修することができ、お囃子の学生でも三味線や唄のレッスンがあったりさらには洋楽のレッスンを受けている学生もいます。

専攻以外の楽器を勉強することは、今までの視野が一気に広がりますし、このようなことができるのは大学ならではの素晴らしいことだと日々実感しています。

学科や体育の授業などでは、ほかの科の学生と交流する機会もたくさんあります。
僕も授業で一緒になった器楽科(サックス)の学生と演奏する機会がありましたし、話をしているだけでも考え方の違いや驚きの連続で新鮮なことばかりでした。

専門的になりがちな邦楽科の学生でも、美術や洋楽などの学生と交流したり刺激し合えることは非常に良い経験になりますし、それは藝大にいるからこそ得られる大きな財産だと思っています。

僕はこれから一人前のお囃子方を目指し、日々古典をより一層勉強していくことが第一です。
藝大にいる4年間の間に様々な先生から様々なご指導を受け、それを精一杯自分の身につけていくことが何よりの展望です。

しかしそれはもちろんのこと、藝大にいるからこそ出会えるたくさんの人材ともっともっと交流し合い、古典の世界で生きていく中でも、自分にしかないツールや人脈を大学生活のなかでたくさん作っていきたいと思っています。

そうすることで、古典の世界でも自分だけの芸を見つけていきたいと考えています。

(2016.06)