東京藝術大学入試情報サイト > 藤田 恵実

1,高校時代から、写真を撮る行為によって目の前のものを見つめることに興味がありました。
写真を続けるため進学した美大では、同学科内に映画を作っている人もおり、彼らの作品に撮影で参加する機会が何度かありました。全く違う思考を持つ人と作ることや、撮るべきものを瞬時に判断し現場が動いていくスピード感に映画制作の面白さを感じました。
卒業後は就職する予定でしたが、1月の卒業制作展開催前日に、映像研究科がまだ出願を受け付けていることを知ります。そして次の瞬間、自分の展示空間の中で出願写真を自撮りしていました。今思うと滑稽な光景ですが、自分の人生が大きく変わるかもしれないという高揚感は、それまで感じたことのないものでした。

2,入学し実習を慌ただしく重ねていくうちに強く思ったのは、他領域とも積極的にコミュニケーションを取り、情報をオープンにしていくことの重要性です。
阿吽の呼吸で作れたらそれは何より素晴らしいことですが、言わなくても伝わるという思い上がりを捨て、相手を知るために言葉を尽くさなければならないと身を以て感じました。

3,修了後の目標は大きく分けて2つあります。
まずは規模・ジャンル問わず映像の現場にたくさん入り、吸収できるもの全てを吸収していくこと。次に、自由な気持ちで制作を続けていくこと。藝大での学びは実り多きものでしたが、どこか肩に力が入り、自分が本当にやりたいことを考える時間を作れなかったように思います。
今まで出会った、そしてこれから出会うであろう人たちと映画を作っていくのはもちろん、映画という形に捉われない制作を個人でも続けていきたいです。

(2021.05)