東京藝術大学入試情報サイト > 桒原 ふみ
好奇心に素直に
芸術学科への進学を考え始めたのは高校2年生のときでした。当時私は普通科の高校に通いながら油画科を目指していましたが、ある日、ギャラリーのオーナーの方からお話を聞く機会がありました。そこで制作だけでなく、もっと多様な視点から美術を支える世界を知り、詳しく学びたいと思い、芸術学科への進学を決めました。
芸術学科では、日本・東洋・西洋美術史、美学等の理論を学びます。しかし学部1・2年次には、油画・写真・彫刻・日本画などを制作する実技の授業もあり、これがカリキュラムの大きな特徴となっています。そして2年次には、古美術研究旅行があります。担当作品の事前調査を経たうえで、京都・奈良の寺社仏閣を巡ります。貴重な日本美術を、美術館ではなくその作品が置かれている本来の環境で鑑賞するのは、何にも代えがたい経験です。
3・4年次では、美術史・美学の演習や特講の授業を通して、更に知識を深めるとともに、研究のプロセスやアプローチを実践的に学び、卒業論文へその成果を結び付けます。
芸術学科は1学年たった20人といえども、興味分野も各々が取り組む活動も多様です。本格的に研究者を志す学生もいれば、実技の授業に留まらず 作品制作を積極的に行う学生、自主的に展覧会を企画する学生もいます。友人と互いの知識や意見を交換し、助け合い、認め合いながら励める環境はとても刺激的です。また、共通の授業や藝祭などのイベントを通して、美術・音楽学部問わず多くの素晴らしい人たちと出会うことができます。時にはその縁がきっかけとなって、一緒に何かを創造するチャンスもあるかもしれません。私自身も、五芸祭の実行委員長や藝祭委員、展覧会の運営の手伝いや友人との展覧会企画など、とにかく色々な機会に飛び込みました。失敗も成功もありましたが、どれも自分にとって本当に有意義で、大切な経験と出会いになったと思います。自分の好奇心に素直に行動し、人との縁を大切にすれば、いくらでも可能性が開けてくるのが藝大の醍醐味です。
現在、私はベトナムの近代美術について卒業論文の作成に取り組んでおり、将来も東南アジアの近現代美術に関わる仕事ができればと思っています。