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指揮者同士は仲が悪い!?
指揮科のレッスンは「指揮部屋」と呼ばれる教室で、1人あたり45分ほど、主に2台8手のピアノを指揮する形で行なわれます。
レッスン曲目は先生にご提案していただく場合もありますが、自分の希望曲目を受講することの方が多いです。
1つの曲をじっくり、ということもありますし、レッスン毎に違う曲目ということもあります。
また、ソリストを友達に頼めば協奏曲の受講も可能です。このように多岐にわたる曲目について、経験豊かな先生方から、棒の技術はもちろん、ただスコアを読んでいるだけでは分からないような、オーケストラで実際に起こりうることを想定した指導を受けることができます。
試験は年に1回、藝大フィルハーモニアと75分のリハーサルを1〜3回行うというもので、僕達にとってプロのオーケストラの前に立てる貴重な機会です。
試験の度に自分ができないことの多さに気が付きますが、ここで得られた経験は次の1年間の大きなモチベーションになります。
しかし、指揮科に在籍しているだけでは、オーケストラの前に立てる機会は基本的に試験時のみなので、大学内で行われている藝大フィルハーモニアや学生オーケストラのリハーサルを見学したり、友達とオーケストラを立ち上げたりするなどして、実際の現場での経験を積む必要もあるかと思います。
指揮者同士は仲が悪いと言われることもありますが(笑)、指揮科の学生間の仲は良く、スポーツ大会などを開催することもあるくらいです。
けれども、他の科との接点は意外と少ないので、僕自身の反省からも、友達作りには積極的になると世界が広がると思います。
僕は中学生の頃から指揮者を目指そうと考え始め、国立大学としては唯一指揮科がある藝大を目指すことにしました。もちろん指揮科に入ったからといって指揮者になれる保証があるわけではありませんが、4年間非常に恵まれた環境の中で勉強することができていると実感しています。
(2015.6)
プロフィール
1994年北海道札幌市に生まれる。
幼少の頃より、チェロ、ピアノを学ぶ。
東京藝術大学音楽学部指揮科を首席で卒業。学内にて安宅賞、同声会賞、若杉弘メモリアル基金賞を受賞。現在同大学院音楽研究科指揮専攻修士課程に在籍。
2015年、第17回東京国際音楽コンクール〈指揮〉で2位ならびに聴衆賞を受賞。
これまでに指揮を尾高忠明、高関健の両氏、作曲を二橋潤一氏に師事。
山田和樹、パーヴォ・ヤルヴィ、ダグラス・ボストック、ペーター・チャバ、ジョルト・ナジ、ラスロ・ティハニの各氏のレッスンを受講する。