東京藝術大学入試情報サイト > 伊東 春香
強い信念とプライド
私は幼い頃から絵を描くことが好きで、美術科のある高校に進学しました。
そこで学んだ日本画の独特な質感や色味の美しさに魅了され、自分の手でもっと上手に表現できるようになりたいとの思いから、芸術大学を目指すことを決めました。
日本画は基本的に、乾いては塗る作業を何層も重ね制作します。
主に制作に使用される岩絵具は砂状の絵具で、粒子の大きさの違いや絵具を乗せる順番によっても雰囲気ががらりと変わります。
また、岩絵具の接着剤として使用する膠の濃度も大切で、丁寧に調節しなければ上手く描くことができません。
ほかにも墨や箔や土など天然の物を使用するため、その加減に慣れることは大変難しく根気が必要ですが、その分自由度が高く多彩な表現が可能です。
入学してから7年目の現在も、日々学ぶことがたくさんあります。
東京藝術大学は、入試の段階で高い技術を求められるため、仲間と切磋琢磨しながら良い環境で制作できると思い、受験を決めました。
実際に入学し、思い描いていた通り各々が強い信念とプライドを持っていることが一番の魅力であると感じました。
先生方を始め、卒業後に作家として第一線で活躍している先輩方を身近で見る事ができるのも自身の作家活動の指針となります。
また、私が大学院より在籍している研究室では、授業の一環として学生で企画運営をする展示会があります。
プランニングや広報を学生が主体で行うため、制作展示だけになりがちな状況を改め、今後作家活動をしていく上で必要な経験が出来ます。
そのような機会を含め普段の制作時も先生方は個人の自主性を重んじてアドバイスをくださるため、作家としての意識の面でも成長ができます。
私を育ててくれた大学や支えてくださる方々に恩返しが出来るよう、そして芸術家への道を着実に歩んで行けるよう、日々大切に過ごして参りたいと思います。
(2016.06)