東京藝術大学入試情報サイト > 森 友紀恵

たくさんのきっかけを与えてくれる場

私が初めて日本画材に触れたのは高校生の時です。小・中学校でそれまで使ってきた水彩絵の具とは違う、粒子がきらきらと輝く岩絵の具は大変魅力的でした。しかし使ってみるとこの岩絵の具、扱いがとても難しいのです。難しいけれど、魅力的。これは深く勉強したいと思い、日本画専攻のある大学を選びました。

東京藝術大学を志望したのは、様々な人との出会いや情報、機会が一番集中している芸術大学だからです。私にとってそのような出会いや体験は、作品世界の幅を広げ、深くしていく事だと考えています。特に同じ専攻の同級生からは大変影響を受けました。共感できる考えを持っている人、真逆の考えの人、私では全く思いつかないような作品を作る人、どんどん新しいことを試す人、等々皆モチベーションが高く、学部・修士を通して刺激的な毎日でした。

日本画の学部では、まず日本画材に慣れるという事から始めます。受験時代は日本画材を扱う機会が少ないため、入学して初めて膠や岩絵の具といった画材に触れる人も多くいます。風景や人物等の課題がでるので色々絵の具の使い方に挑戦し、失敗したり発見したりしながら自分なりの表現を探求していきます。また、様々な座学の授業をとることができるので他の学科の人たちとも交流を持つことができます。

修士に進学するとさらにオリジナルの表現、作品を追求していきます。研究室によって特色も異なります。私の所属している研究室では、自身の創作を行うと共に古典美術の美を学ぶ一環として古典模写を行っています。私は伴大納言絵巻の現状模写に携わりました。年に二回本物の絵巻を見る貴重な機会があり、当時の描画表現を生で見ることができます。

現在、私は日本画の博士後期課程に所属しています。岩絵の具に関しては学ぶ事がまだまだ沢山あり、失敗や発見を繰り返しながらも自分の作品世界を模索しています。迷子になる事も多いですが、熱心に指導してくださる先生方や支えてくださる方々、共に創作を追求している仲間に感謝し、日々精進していきたいと思っています。