東京藝術大学入試情報サイト > 三雲 はるな
音楽に導かれて
家族や親戚にクラシック音楽が分かる人がいなかった私にとって、とにかく師事しているヴァイオリンの先生が音楽の全てであり、また憧れの存在でした。東京藝術大学には、尊敬できる多くの先生方、先輩方、友人がいます。行き詰まったとき、周りにいる人に相談すれば必ずと言って良いほど道が開けてくる今の環境は、夢のような世界です。
現在在籍する大学院室内楽科では、ピアニストが専属でついてくださるおかげで、合わせもレッスンも大変充実したものになります。レッスン前の合わせでは、素晴らしいピアニストがご自身の経験や解釈から多くのことを教えてくださり、アンサンブルの楽しさを再認識することができます。そして、教授にレッスンをしていただくと、私の音楽世界は大きく広がり、曲がだんだんと色づき、立体的になっていくのが実感でき、これほど嬉しいことはありません。
また、授業やレッスン以外にも、優秀な仲間とともにオーケストラやアンサンブルを学ぶ機会は山ほどあります。アンサンブルは、相手がいてくれるからこそ自分の立ち位置があり、グループの構成が変わるたびに今までとは違う音楽の魅力を発見することができるものだと感じています。
一方、一般教養も藝大ならではの授業が充実しており、私は学部1年から5年間にわたり、音楽療法を学んできました。とても優秀な友人に囲まれ、自分がヴァイオリンを演奏することの意味を見失いかけていた頃に、音楽療法の授業に出会い、音楽の持つ力や可能性をあらためて認識し、こうして音楽に向き合えることに心から感謝できるようになりました。音楽療法を学んだ今では、音楽は人の心に寄り添うことができる本当に素晴らしいものだと自信をもって言えるのです。できれば、修士論文でも扱ってみたい私にとって大切なテーマになっています。
9月からはスイスへ留学できることになったので、語学の勉強にも力を入れ、その土地の文化芸術を理解して自分の中に取り入れ、人間的にも音楽的にも大きく成長していけるよう努めたいと思います。