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「 “メディア映像”は何をしている専攻?そもそも“メディア” “映像”とはどういう意味?」

名前だけでは何をしている専攻か分からないと外部から言われる機会が多い。メディア映像専攻の英語の正式名称は「Department of New Media」つまり、新しいメディアを扱った表現を探求する専攻だ。New Mediaと一口に言っても、写真や映像、音楽、プログラミング、パフォーマンスなど多岐に渡る。

入学するとすぐに1年生は、「特別演習」という3ヶ月半の強化期間に入る。その中で、インタラクティブな映像表現を模索したり、カメラの原理に立ち返り、光の像を獲得したり、パフォーマンスの先生と身体を動かしたり、古典演劇を現代に捉え直して映像化したり……。何故このように多様な表現を学べるのかというと、それは、デザイン、写真、演劇、工学、メディア研究など各分野で研究する教授たちが各々の授業を受け持つからだ。2年次は、講評会が2ヶ月に1回程度あり、昼過ぎから夜遅くまで行う日もある。5人の教授たちが、学生の作品を各研究分野から批評するので、毎回刺激的で濃密な時間となる。

さらに、1年に2回開催される学外向けの展覧会がある。大学などの研究機関や美術館に携わる方々、キュレーター、アーティストなどが来場する貴重な機会となる。皆この展覧会に向けて制作するので、ハードな制作期間が続く。とはいっても、元町中華街校舎は、時間に限りなく施設を利用できるので、各学生に適した制作活動ができる。食事や休憩ができる環境も整っており、一緒に節約してご飯を作り、夜中までお互いの作品や将来について語り合う学生もいる。

同級生の出身校は、油画や彫刻、映画、建築など多様だ。私は、もともと本学部デザイン科出身である。人と人との関係のデザインや、情報デザインを学ぶなかで、映像や写真を扱う現代美術の作品に興味を持ち入学した。異なる経歴を持つ学生が集まるので、特にグループワークを行う授業は面白い。卒業後の進路は、就職、作家、フリーで活動するクリエイターなど様々だ。私は、作家として美術史や文化、人々の暮らしから見える国民性を、デジタルメディアを使い表現することに関心がある。海外での制作も考えており、母国である日本と比較しながら制作を続けていきたい。