東京藝術大学入試情報サイト > 小野 拓真
私は一般大学を卒業したのちに作曲の道を志し、藝大へ入学しました。藝大を志望したのは、教育の水準が高く、全国から才能が結集する厳しい環境の中で自己研鑽に励みたかったというのが最も大きな理由です。
藝大でのレッスンや講義の数々は、どれも蒙を啓かれるものばかりでした。
作曲科の学生は、年度末や期末に、指定された楽器編成による作品を提出します。1年次ではピアノと任意の楽器による二重奏作品、2年次では3人以上6人以下の演奏者による室内楽作品、3年次では日本語のテキストを用いた声楽作品と管弦楽作品、そして4年次では奏楽堂で行われる学内演奏会に作品を出品したのち、任意の編成による卒業作品を提出します。
これらの作品を書くためにレッスンを受講するのはもちろんですが、その他にもエクリチュール(和声・厳格対位法・フーガ)、管弦楽法、楽曲分析、音楽と言語、コンピュータ・ミュージックなど、作曲に関する専門的な講義が開かれており、作曲能力を多面的に磨くことができます。
また年に数回、国内外の作曲家の方々による特別講座が開催されており、作曲の方法論について多くの知見を得ることができます。
そして、選択講義も大変充実しています。ソルフェージュ、音楽史、語学といった作曲と関係の深い講義のほか、管弦打楽器・和楽器の副科レッスン、一般教養や美術系の講義などを受講することもでき、自分の関心や問題意識に基づいて、音楽家としての幅を広げることができます。
藝大作曲科の学生は個性的で、驚くような才能に溢れています。学内の行事などでお互いの新作を聴き合う機会も多く、大きな刺激になります。
また学内で自作品を発表する際には、器楽科や声楽科の学生に演奏をお願いすることになるのですが、藝大生のレベルの高い演奏によって自作品を形にしていただくことは、作曲を学ぶ上でかけがえのない体験になると思います。
私は将来的には、藝大で学んだ歴史的な作曲技法と音楽体験を基盤として、現代における作曲行為の価値を探求しながらも、自らの作品を通じて、広く社会に貢献できる作曲家になりたいと考えています。
自作品の楽譜