東京藝術大学入試情報サイト > 新井 優香

好きなことに好きなだけ夢中になれる時間は限られている

将来プロの音楽家として活躍することはとても難しいです。
藝大を卒業すれば全員がプロになれるという保証は全くありません。

毎年多くの卒業生がいる中でプロのオーケストラ団員やソリストとして安定した就職先が決まっている人はほんの一握りです。
それ以外の人は、フリーの音楽家として、地域の音楽教室の先生として、自らアンサンブルユニットを組んで活動するなど様々ですが、中には音楽を辞めざるを得ない人も少なくありません。

私は藝大の附属高校から進学しましたが、高校時代は、将来や就職に関することはほとんど考えておらず、自分の好きなように演奏活動を行っていました。
しかし、藝大に入学し、高校にはなかった専攻の友人や、自分とは比べものにならないほどたくさんの知識がある同級生、様々な経験のある院生など多くの人に出会い気が付いたことは、みんなプロになって活躍しようと必死で努力をしているということです。

プロの世界に入ることはとても難しいと知っているにもかかわらず、少しでもその世界に食い込もうと今の自分にできる活動を行っていることに、刺激を受けました。

ある人は、自ら演奏会や公演を企画し、学生だけの力で一つの作品を作り上げ、ある人は学生同士でアンサンブルユニットを組んでツアーを行うなど時間がある学生時代にしかできない活動を行っています。
ほかにも、ソロでリサイタルや演奏会を行うなど自らを世間に売り込み、一歩ずつプロの世界に近づいていく人もいます。

このような自らの将来を見据えた活動を行っている周囲の刺激を受け、私もやらなくては、好きなことに好きなだけ夢中になれる時間は限られていると感じました。

最近は、周囲の刺激を受け、私自身もリサイタルや演奏会を自主的に行い、室内楽にも力を入れ始めました。

これからも恵まれた環境の中で学生生活を送れることに感謝し、理想の自分に近づけるよう日々精進したいと思います。

(2016.06)